エステル記④ このような時のために
エステルはワシュティ王妃に代わって、クセルクセス王の王妃となりました。めでたしめでたし。ではなく、まだ続きがあります。
エステルのいとこであり養育者のモルデカイは、彼女に「自分の民族や親元を明かさないように」と命じていたので、エステルはその言葉に従っていました。
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その後、クセルクセス王はアガグ人・・ハマンを引き立て、同僚の大臣の誰よりも高い地位につけた。王宮の門にいる役人は皆、ハマンが来るとひざまずいて敬礼した。・・・しかし、モルデカイは、ひざまずかず、敬礼しなかった。(エステル3:1,2)
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ユダヤ人であるモルデカイは、神さまへの信仰から平伏することができなかったのだろうか。結果、ハマンは怒った。そしてどうしたか?
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・・ハマンは、モルデカイ一人を討つだけでは不十分だと思い、クセルクセスの国中にいる…ユダヤ人を皆、滅ぼそうとした。(エステル3:6)
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王はハマンに、このユダヤ人撲滅計画をまかせ、勅書を出した。
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「第十二の月。…の十三日に、…ユダヤ人は老若男女を問わず一人残らず滅ぼされ、殺され、絶滅させられ、その持ち物は没収される」。(エステル3:12,13)
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勅書が届いたところに、ユダヤ人たちの大きな嘆きが起こった。
一体、何が起こっているのか分からないエステルは、宦官のハタクを、モルデカイのところに行かせて、一部始終を知ることになった。加えて、モルデカイからの伝言はこうであった。
「王の所に行って。ユダヤ民族のために、寛大な処置をしてくれるよう、嘆願するように」
エステルの返事は、消極的であった。
そんなエステルに対して、モルデカイは、再度、言葉をハタクに託した。
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「…自分は王宮にいて無事だと考えてはいけない。この時にあたってあなたが口を閉ざしているなら、ユダヤ人の解放と救済は他のところから起こり、あなた自身と父の家は滅ぼされるにちがいない。この時のためにこそ、あなたは王妃の位にまで達したのではないか。」(エステル4:13,14)
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エステルは、目が覚める。
命を懸けてユダヤ人を救出することへの、覚悟を決めた。
「置かれた場所で咲けない」とつぶやくことがあるかもしれない。
しかし、ここにいることには、きっと意味がある、この時のためにこそ、わたしがここにいる。と思い直す時、問題の捉え方が変わる。自分の使命に自覚を持った時、エステルのように、心が定まるのだろう。
イエスさまは、十字架への道を覚悟されていた。
私たちの罪を贖うという使命のために、進まねばならぬ道であった。
その道の先・・主イエスの十字架の血で、私たちは、救われた。
わたしたちが、それぞれに、主から託されていることは何だろうか。
それに向かって進むとき、
わたしたちは、逃げなくてもよくなる。
いまここで、わたしができることに、
心を注いでいけますように。
握りしめているものがあって進めないのなら、
手放すことができますように。
【今週のみ言葉】
「神よ私の心は定まりました。私の心は定まりました。
私は歌い、かつほめたたえます。」(詩篇57:7)